Ordinary People Do Extraordinary

ロンドン大学の大学院で広告・広報・マーケティングの勉強をしていましたが、2014年9月に卒業予定。イギリスでの就職を目指します。

言葉とコロケーションについて

*2014/9/10 カテゴリ・本の引用方法を更新しました

 

おはようございます。Sumです。

今日は完徹しております。全然眠れないのでブログを書こうと思います。

 

ロシア語の通訳をされていた米原万里さんの「ガセネッタ&シモネッタ」を最近読んだのですが、ちょっとはっとさせられる文章がありました。

翻訳家の柳瀬尚紀さん(フィネガンズ・ウェイクの翻訳で有名ですね)との対談で、米原さんはこのように述べています。

 

米原     辞書の例文というのは、六法全書の判例みたいなものですよね。柳瀬     そうそう。

米原     つまり、実際にこういう意味だと、誰も決める権利はないんですね、言葉の意味というのは。こういう使われ方をしているからこういう意味だ、というのしかない。

柳瀬     その通りなんです。

米原     意味は判例から浮かび上がってくるんですね。

柳瀬     まさしくその通りなんです。それだけ言ってしまえば、もう話すことがない(笑)。

米原     誰か偉い人がいて、こういう意味だと言っても、そうならないんです。それが言葉の面白いところで、間違った意味でも、みんなが使っていれば、それが通用するようになるんですよね。

 

米原さんは同エッセイの「美しい言葉」でも、このように綴っています。

 

(世の中に「美しい日本語」を冠したタイトルの本があふれていることを挙げ)このタイプの読み物は、週刊誌の連載にも何点かある。著者はこれみよがしに学識を駆使して自信満々に言い張る。

「日本語のここが乱れとる。こりゃ、けしからん。間違っとる。かくかくしかじか正しくはこう言うべきだ云々」

ごもっとも。そう思いつつ、何か腑に落ちない。はっきり言って、不快感を覚える。上から見下すようにものを言われたときにカチンとくるあの気分だ。

「ふん、エッラソーに! 少しばかり教養があるからって、何様のつもり? 日本語は、あなただけのものじゃないの!」

不快感の要因は、つまるところ、そこにある。言葉は、その言葉を共有する共同体全員のもの、日本語は、日本語で生活するすべての人々の共有財産なのだ。

どんなに時の為政者が、強力な権力にものを言わせて強要しようと、正義をふりかざす団体が当然とばかりに圧力をかけようと、どんなに権威ある学者や専門家が高邁な学識を動員して啓蒙しようと、圧倒的多数の人々が、その言葉を使うようにならない限り、その言葉は言葉になれないのである。このあたりは、小気味良いほど単純民主主義なのだ。(p265)

 

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

 

英語の学習においても、例文を覚えることは非常に大切だと感じます。単純に例文から抽出した「意味」だけを覚えていても、英作文の時にコロケーション(連語)がおかしなヘンテコリンな文になってしまいます。

コロケーションの大切さは「ドラゴン・イングリッシュ」の竹中先生も指摘しています。

 

たとえば「重要な問題」を英語にする場合、「重要な」important、「問題」a problemだからといって、単純に足してan important problemとすると間違いになります(正しくは a serious problem / an important matter)。「なぜ間違いですか?」という問いに対しては、「そう言わないからです」としか言えません。(p222)

 

受験生が知っているunderstandの代表的な目的語はyouなどの「人」、what you saidなどのwhat節だと思われます。ところが、「大人は子どもの夢を理解していない」という試験でunderstandの目的語にdreamと書いた受験生がかなりいました。おそらく日本語で考えて、「いけそうだ」と思って書いたのでしょう。このようなことをやっていたのでは英作文は永久に「あてずっぽう」の域から出ません。

ですから、もしある他動詞を「使いたい」と思うならば、その代表的な目的語を2-3語セットで覚えておくことです。accept=「受け入れる」という学習法ではなく、accept your invitation / accept your offerというセットの形で暗記してください。(p223)

 

ドラゴン・イングリッシュ基本英文100

ドラゴン・イングリッシュ基本英文100

 

 英単語を覚えるときは、こういう覚え方のほうが身につきます。米原さんの言っている通り、「こういう使われ方をしているからこういう意味だ」というのが、言葉の大原則なのでしょうね。

 

そろそろいい具合に眠くなってきたので、寝ます。おやすみなさい。

 

Sum