Ordinary People Do Extraordinary

ロンドン大学の大学院で広告・広報・マーケティングの勉強をしていましたが、2014年9月に卒業予定。イギリスでの就職を目指します。

記号論と広告

*2014/9/10 カテゴリを更新しました

 

こんばんは。Sumです。

 

月曜日はPromotional Cultureの4回目の授業でしたので、忘れないうちに学んだことを書き残しておきたいと思います。テーマは"Signs, Texts and Postmodernism"。

 

まぁ私も全然知らなかったのですが、世の中にはCemiotics(記号論)という学問があるのです。

Wikiセンセイによると以下のように定義されています。

言語を始めとして、何らかの事象を別の事象で代替して表現する手段について研究する学問を指す。 

授業はまずソシュールさんが定義した"Signifier"(シニフィアン)と"Signigied"(シニフィエ)を学ぶところから始まりました。さすがWikiセンセイ、ちゃんと載ってる!

シニフィアンはフランス語の動詞 signifier(意味する)の現在分詞で「意味しているもの」「表しているもの」を指し、シニフィエは同じ動詞の過去分詞で「意味されているもの」「表されているもの」を指す。日本語ではシニフィアンを「記号表現」「能記」など、シニフィエを「記号内容」「所記」などと訳すこともある。

シニフィアンとは、語のもつ感覚的側面のことで、例えば海という言葉の「海」という文字や「うみ」という音声のことを言う。他方シニフィエとは、このシニフィアンによって意味されたり表される海のイメージや海という概念ないし意味内容のことである。また、表裏一体となったシニフィアンシニフィエとの対のことを、「シーニュ」(signe)すなわち「記号」と呼ぶ。

Wikiでは例として海を取り上げていますが、私なりにりんごを例にして説明すると、こんな感じです。

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Semioticsについて勉強をしたところで、広告やプロモーションはこのSignifierとSignfiedを絶えず切り離して、新しいSignifiedを与えようとしているよね(SignifierとSignifiedの境目を曖昧にさせる)っていう話をしてました。

 

例えば台所用洗剤のCM。


花王 キュキュット キュキュット CM 瀬戸朝香 - YouTube

ふわふわした泡のイメージが多用されてます。

 

ロラン・バルトは"Soap-powders and Detergents"(石鹸パウダーと合成洗剤)の中で以下のようの述べています。

Omo社は合成洗剤というカテゴリーおいて、やや斬新な「ディープ」と「泡」という2つのテクニックを使っている。(中略)泡は贅沢さを意味することで知られている。(中略)消費者は泡をみると好意的にふわふわしていて、触ると軽くて縦に広がるものをイメージするようになる。(中略)泡はある種の精神性すら表し得る。(中略)ここで重要なのは、合成洗剤の研磨効果を、即座にディープでふわふわしたものの心地良いイメージで装う技術であり、それは物体の分子秩序を損ねることなく支配し得る。

Omo uses two of these, which are rather novel in the category of detergents: the deep and the foamy. […] As for foam, it is well known that it signifies luxury. […] Finally, it gratifies in the consumer a tendency to imagine matter as something airy, with which contact is effected in a mode both light and vertical, […]. Form can even be the sign of a certain spirituality, […]. What matter is the art of having disguised the abrasive function of the detergent under the delicious image of a substance at once deep and airy which can govern the molecular order of the material without damaging it. (Barthes, 1973: 41-42)

Mythologies

Mythologies

 

 

バルトが言っているのは、「合成洗剤」でGoogle画像検索をすると、こんなおどろおどろしいイメージが出てきますが、

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広告やプロモーションを通して別のSigified(泡=リッチ)を付与することで、新しいイメージを作り上げているよねってことです。

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今から50年も前に書かれたロラン・バルトのエッセイですが、全然古さを感じさせないところがすごい。

 

Sum